A:夏から秋にかけて(7月下旬〜11月上旬)が食べごろです。
多くの梨は春に花が咲き、夏に十分な日照を浴びることで秋に果実が成熟します。特に太陽光は浴びる期間が長ければ長いほど光合成によって二酸化炭素と水が炭水化物(=糖)に変換され、より甘い実がなるんです。主にこのような理由で、梨が取れる時期は秋であり、同時にいちばん美味しく食べられる時期でもあるんです。
ちなみに…
梨の他にブドウ・品種によってはリンゴも8〜9月に食べられますが、これも同じく日照による糖度の高まりが関係しているんです。逆に、レモン・キウイは11月頃が旬で、これは収穫時期からさらに追熟させる必要があったり、花が咲いてから実がなるまでに時間がかかることが理由なんですよ。
A:木に梨の花が咲き、花粉によって成長してできます。
梨が実るまではこんな流れになります。
①まず、収穫終了後、実をならせくれてありがとう、お疲れ様。の意味を込めた肥料を木にあげます。これを礼肥(れいごえ)と言います。
②落葉した後から、剪定(せんてい)が始まります。古くなった枝を切り、来年実をならせる枝を日当たりを考えながら配置して棚線(ワイヤー)に麻ひもで固定します。その時に、二年後に実をならせる枝の準備もします。この作業に11月から3月までかかります。ちなみに寺畑農園では約4000本の梨の木があります。
③3月になると摘蕾(てきらい)という、花のつぼみを落とす作業に入ります。花を咲かせるには、多くのエネルギーを使います。木や枝の状態に合った花芽(はなめ)の数に調整します。花が開き始めたら、「花採り」が始まります。梨は同じ品種同士では受粉出来ません。採った花から人工授粉の為の花粉を作ります。
④花が咲き始めた4月初旬から授粉作業を行います。風やミツバチの力も借りますが、効率を上げるための人工授粉は欠かせません。1つの花芽から8つぐらいの花が咲きます。その中の一番条件の良い花を狙って、耳かきの先のフワフワのような梵天(ぼんてん)という道具を使い、手作業で授粉させます。
⑤4月中旬頃、結実(けつじつ)した実から、良い実になる候補を残してハサミで落とします。これを予備摘果(てきか)と言います。5月下旬〜6月にかけて、収穫する実を1つだけ残す仕上げ摘果を行います。通常、この後に袋をかけますが、寺畑農園の梨は袋をかぶせない無袋栽培を取り入れています。袋をかけないことによって果実は大きく、より甘く育ちます。
⑥仕上げ摘果の後は、草刈り、干ばつ対策、鳥や獣(特に猿)との闘いです。それらを乗り越え、7月下旬の収穫を迎えることができます。
このように、梨が実までにはたくさんの過程があるんですよ。
ちなみに…
梨の収穫は、間違いなく一年の中で最大のイベントではありますが、生産者からすると3月から始まる摘蕾から摘果までの一連の作業が、収量と品質を大きく左右する一番重要なものなんですよ。
そんな寺畑農園の梨を実際に見てみよう!
A:果肉の中にある、「石細胞(せきさいぼう)」と呼ばれる硬い細胞によってシャリシャリするんです。
梨は多細胞生物のひとつであり、その名の通り多くの細胞が集まって果肉を形成しています。その細胞のひとつひとつを「石細胞(せきさいぼう)」と呼ばれる細胞が包んでおり、主に果肉の形状を保つ役割を果たします。石細胞に含まれるセルロースやリグニンと呼ばれる物質が硬く、弾力があるのが特徴で、これらがあのシャリシャリとした食感を引き起こすのです。つまり梨のシャリシャリはしっかりとした強度の証なんです。
ちなみに…
洋梨にも石細胞は多く含まれているものの、細胞同士の間に隙間があり、その分水分が和梨よりも多く含まれていることから、和梨に比べてシャリシャリとした食感が少ないんです。その分、口当たり滑らかな食感が楽しめます。
寺畑農園のドライ梨をヨーグルに漬けると
驚きの食感に…!?
A:冷やした方がより美味しく、そして長く保存できます。
梨は、収穫した直後から劣化が始まるため、冷蔵保存がおすすめです。一個ずつ新聞紙で包み、ポリ袋で密閉して野菜室に入れてください。軸の方を下にして入れておくと、呼吸が抑えられて長持ちします。フルーツには、冷やして食べるものと常温で食べるものがあります。その違いは、「果糖」と呼ばれる、冷やすとより甘い物質に変化する糖の含有量によって生じます。(フルーツの甘さは、果糖・ブドウ糖・蔗(しょ)糖などの糖分で感じられますが、このうち一番甘みが強いのが果糖なのです。)フルーツを冷やして食べる理由がここにあります。果糖が多いフルーツには、梨・ブドウ・りんご・キウイフルーツ・スイカなどがあり、少ないものは、みかん・バナナ・柿などです。しかし、少ないものは“冷やしたら甘さがなくなる”というわけではなく“冷やしても甘さの変化はない”ということなので、決して常温ではないといけないということではないんですよ。
ちなみに…
梨は、冷やして食べるのもおすすめですが、加熱して食べるとまた違った効果を期待できます。梨は加熱してもそれほど栄養素を失いません。なので、胃腸が弱い方や冷え性の方も安心して食べることができます。さらに、焼くことで梨の風味が引き立ち、豊かな味わいになります。